「生きている証明になった」難病乗り越えた64歳、パワーリフティング男子マスターズで1位


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パワーリフティング全国大会で1位に輝いたことを報告する盛龍也=18日、那覇市泉崎の琉球新報社

 パワーリフティングの第39回全日本実業団選手権大会が16日、栃木県芳賀町第二体育館で行われ、男子マスターズⅢ105キロ級の盛龍也(64)=名護市辺野古、龍盛道場=がトータル285キロで1位に輝いた。「失敗を恐れずに挑み、記録を残せたのは誇り。単独出場だったが、満身創痍(そうい)ながら挑戦できたのは生きている証明になった」と力を込めた。

 盛は昨年2月に背骨付近の靱帯(じんたい)が硬くなって神経を圧迫する難病「胸椎黄色靱帯骨化症」と診断され、手術を経て3カ月間のリハビリに励んだ。昨年7月末には「腰椎脊柱管狭窄(きょうさく)症」で11月に手術を受けた。「体にメスを入れられたのは7回目。50代から神経痛に悩まされ、首から下はいろんな部分で感覚がない」と説明する。

 大会出場は2019年12月以来で、その後はコロナ禍の影響による中止なども重なり、機会を閉ざされていた。「出場を延ばしてしまえば、選手としてのモチベーションがなくなり、このまま引退するんじゃないかと思った。けがも病気も修羅場も乗り切ってきたからやれる」と自らを奮い立たせ、意を決して出場を決めた。

 全国優勝は13度目。一般で2度、40代で3度、50代で6度、60代で2度目になる。40代にはトータル610キロを記録した。2019年に刑務官を定年退職し、「大会遠征費用も必要なので」と週3日は老人ホームでパートをこなす。「1週間は休養して、5月の全国日本マスターズに向けて練習する。納得するまでは競技を続けていく」と並外れた精神力を見せた。
 (大城三太)