沖縄県警SP、要人警護と子育てに奮闘 両陛下の来県時の警衛警備、夫婦で従事へ 橋本巡査部長「現場に立つ姿、後輩に」


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夫婦で天皇皇后両陛下来県時の警衛警備に携わる県警の橋本美沙巡査部長=18日、豊見城市

 23日開催される「美ら島おきなわ文化祭」開会式に出席する天皇皇后両陛下の来県に向け、県警は県内各地で訓練に取り組んでいる。2021年10月、警備部警衛対策課を発足し、各署から要員も得て、皇室と県民との親交に配慮した安全対策に余念がない。要人警護などに従事する警護員(SP)で警備部警備2課に所属し、今回の両陛下来県では「自動車お列警衛隊」で無線担当に従事する橋本美沙巡査部長(34)は、夫で同部警衛対策課の一善さん(31)と夫婦で警衛警備に携わっている。1歳児の子育て中で仕事に育児に奮闘している。

 本島中部出身の橋本巡査部長は、児童養護施設などでの勤務を経てから警察官を志し、14年に拝命。名護署勤務などを経て、要人警護などに従事していた先輩女性警察官に憧れ、SPを希望した。19年には警視庁で約1年間、SPとしての研修に臨んだ。この時、全国から集まった警察官のうち、女性は橋本巡査部長のみだったという。「警護対象者が女性の場合、同性だからこそ、生かせる視点もある」と話す。20年に沖縄に戻り、結婚、出産。1年の育休を挟んで今年4月、現職に復帰した。

 「現場に出れば100%安全だとはいえない。当初は不安しかなかった」と振り返る。SPの仕事は危険と隣り合わせの過酷な現場。帰宅が日付をまたぐ日もあった。「夫婦で帰宅の早い方が育児や家事のできることを率先してやっている。子どものお迎え時間になると、上司が『早く帰ってあげて』と声を掛けてくれる。職場での雰囲気づくりがとても助かる」と明かす。夫の一善さんは警衛計画の交通対策を担っている。

 夫や職場、周囲の理解に支えられ、子どもの笑顔が何よりも現場での活力になっているという。

 今回の警衛警備では、車列後方から現在地などを本部に知らせる無線担当。迅速かつ的確な無線配信が求められ、声のトーンや声質から聴き取りやすさなどの面で、女性の声の利点が生かせるという。「子育てしながらでも現場に立つ姿を後輩たちにも見てもらいたい。自分で選んだ道、感謝を忘れず子どもに誇れるように頑張りたい」と気持ちを引き締めていた。(高辻浩之)