発足6年目を迎える那覇国際高校の競技かるた部が躍進している。今年7月、「かるたの甲子園」とも呼ばれる小倉百人一首競技かるた第44回全国高校選手権大会の団体戦でベスト8に入った。全国高校総合文化祭でも県勢チームの初勝利に貢献。生徒たちの活躍に注目が集まっている。
小倉百人一首の札を取り合う競技かるたは、100分の1秒を争う勝負とも言われ、高い集中力と瞬発力が求められる。部のメンバーは1~3年生の27人。学校の授業が遅くまであるため、放課後に確保できるのは2時間程度だ。通常15分ある試合前の暗記時間を10分に短縮し、より短い時間で覚えられるよう工夫するなど、効率のいい練習を心掛ける。
滋賀県大津市で開かれた選手権大会は、団体戦に47都道府県の61校が参加した。那覇国際は、3年生の城間万采(まあや)さん(18)、宇根柚羽(ゆずは)さん(18)、仲里恒星(こうせい)さん(18)、2年生の島袋智弘さん(16)、上地もなみさん(17)らが出場した。
「負けたら終わり」の予選トーナメントにも、緊張はなかった。強豪校として知られる鹿児島県の鶴丸高との初戦。「気負い過ぎることなく、挑戦者として楽しもう」と挑み、3―2で勝利した。2回戦の甲府南高(山梨)、3回戦の筑紫女学園高(福岡)との試合も接戦を制した。
予選を勝ち上がって挑んだ準々決勝で、栃木県の宇都宮高に0―5で敗退。メンバーは「相手は男子校で、男子生徒ならではのスピードがあった」と冷静に振り返る。一方、初戦敗退の前回大会から成績を大きく伸ばした。宇根さんは「結果には大満足。こんなに進めるとは思ってもみなかった」と笑顔を見せた。
7月末に東京都で開幕した第46回全国高校総合文化祭には競技かるた部から4人が出場。宮古高、首里高の生徒とチームを組み、県勢として初勝利を挙げた。
メンバー全員が高校から競技かるたの世界に入った。「相手の下段の札を払えた時はすごくうれしい」「詠まれる札を予想し、それが払えた時は爽快感がある」。それぞれが競技に魅力を感じ、練習に打ち込んでいる。県内でも競技人口が徐々に増えてきた。
顧問の中村美紀教諭は「コロナ禍で練習時間が制限される中、勉強と両立させながら工夫し練習している」と生徒たちの成長を実感する。チームを率いた3年生は引退し、今度は2年生が主力に。新しく部長になった上地さんは「県予選や九州大会でもしっかり勝てるよう頑張りたい」と意気込みを語った。
(吉田早希)