【記者解説】子どものSOSが届かない…その背景は 沖縄県内の教職員不足も影響か 問題行動調査


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 2021年度問題行動調査では、いじめの「重大事態」発生件数が前回調査と比べ倍近く増えている。県教育委員会はその背景を「教員など関係者のいじめに対する意識が高まり、重大事態に該当する可能性をしっかり認めて対応しているから」と分析。しかし識者は「根深い問題は何も解決していない」から増加していると指摘する。教員がいじめの兆候にいち早く気付くことができず、深刻化した事例が含まれている可能性もある。どちらにせよ、子どもの異変に敏感に気付ける教師の存在が必要不可欠だ。

 21年度は子どもたちへの新型コロナ感染が深刻化し、学校PCR検査が追い付かず、教職員も疲弊していた時期だ。教師に助けを求めることを諦めてしまった子はいなかっただろうか。

 県内では学級担任を含む教職員の不足がすでに大きな問題となっている。子どもたちのSOSを受け取る大人が学校に足りていない。今後もなり手不足が続けば、状況はより悪化する。教育行政は、子ども同様にSOSを出している教職員の声に耳を傾け、教職員が子どもと向き合える環境整備を急がなければならない。
 (嘉数陽)