日本全体で反社会的な行動は減少傾向にある。加えて、コロナ禍で人との接触を避けることが求められたことが暴力行為の減少に大きく影響したと考える。一方、「重大事態」のいじめが増加するなど、根深い問題は解決されていない。
学校の魅力は、教師や友人とのコミュニケーションだ。コロナ禍でその機会が奪われ、不登校の増加につながっている。
子どものSOSに対応できずに、不登校やいじめ、暴力行為が起こっている背景もある。不登校の子どもに接する際「どう学校に来させるか」という視点になってはいないか。そこに重点を置くと、子どものSOSに気づけず「先生に言っても無駄だ」と不登校が続くか、「分かってほしい」と暴力行為に走ってしまうことになる。
大切なのは、なぜ来られないかという視点で子どもの心の声を聞くことだ。それがSOSに応える前提になる。対応できなければ不登校者数やいじめの件数などは増え、今ある指導もうまくいかず、教員は疲弊してしまう。悪循環が起こっている現状を、全体的に捉えるべきだ。子ども理解をもとにした指導ができるよう、研修を充実させる必要がある。
(学校臨床心理学)