ジャンルを超えたアートが融合、平和を願う 「ウタ拝」4年ぶり沖縄公演 沖縄の歴史と文化描く


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 「沖縄のウタ拝2022」沖縄公演が8日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホールで開催された。ジャンルを超えた音楽と映像、踊り、アートなどを融合させ、平和への祈りを満席の観客に届けた。沖縄公演は4年ぶり5度目。昼夜の計2回開かれ、夜公演を取材した。

共演して歌声を響かせる(右から)Cocco(歌)、知念利津子(ソプラノ)、辺土名直子(ピアノ)=8日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホール

 舞台は「OKINAWAという島が紡ぎつづけているもの」をテーマに、辺土名直子が作曲・編曲したオリジナル曲や沖縄民謡15曲に乗せて、沖縄が歩んだ道のりを歌や映像などで紡ぐ。先人から受け継がれた沖縄文化を、それぞれのアーティストのフィルターを通して創造的に表現された。

 幕開けは「ニレー神~やうら」(辺土名作曲)。幻想的な舞台の中、「おもろさうし」の詞章をCoccoが祈るように伸びやかに歌い、声楽家の知念利津子の神々しい歌声が重なった。「壕(がま)」(辺土名作詞作曲)では丸木位里・俊夫妻の共同作品「沖縄戦の図」の一部が映像に投影されるなどし、沖縄戦の喪失感や苦しみ、怒りを感じさせた。民謡「屋嘉節」ではCoccoも三線を持ち大城建大郎と歌い、「月ぬかいしゃ」ではサンゴの卵が海中に漂う映像を背景に、Coccoが、温かい歌声を響かせた。

表情豊かな踊りで観客を引きつけるCocco

 「Baton」では、平和をテーマにした仲里すみれさん(開邦高1年)が書いた文をCoccoが英語で朗読。ベルリン在住の美術家・照屋勇賢の紅型(びんがた)染着物を身にまとったパフォーマンスなどが多彩に展開された。「藍色血潮(エールチー)」(辺土名作曲)では、生命の誕生や過程を表現するようなCoccoの巧みな踊りが引き込んだ。

 辺土名は「この後、東京公演もあり、続けることが一番大切だと思っている。見守ってください」と呼びかけ、出演者らが「唐船ドーイ」でカチャーシーを踊って終演した。他の出演はChris(ベース)、椎野恭一(パーカッション)、斉藤洋平(映像)、山川さやか(絵)。

 12月17、18の両日、渋谷区総合文化センター大和田さくらホールで東京公演が開かれる。

(田中芳)