【記者解説】嘉手納基地のF15戦闘機更新 抑止力や騒音被害への影響は?


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米軍嘉手納基地へ飛来したヒッカム空軍基地所属のF22Aラプターステルス戦闘機=6月1日(又吉康秀撮影)

 米軍嘉手納基地で老朽化したF15戦闘機の退役作業が始まることで、日本政府は中国を念頭に、抑止力の低下に受け止められることを警戒している。米軍第18航空団は琉球新報の取材に「より新しく、より高度な航空機を配備することで嘉手納でプレゼンス(存在感)を維持する」と米軍の関与に変わりないことを強調。むしろ常駐機を順次更新していく間は、半年ごとのローテーションで暫定配備する最新鋭ステルス戦闘機F22も加わり、嘉手納基地で戦闘機の機数が増えることになると説明した。

 現代の防衛では「相手との近さは、自らにとって不利だ」(防衛省関係者)との考え方もある。中国がミサイル能力を向上させる中、電子戦やサイバー戦でも相手に情報を収集されやすくなり、一度に戦力を失う可能性があるためだ。

 米軍は28日の回答で、F15C戦闘機に代わる常駐機を引き続き嘉手納基地に五十数機を集中させておく方向性を示した。ただ、当初はF15EXを後継機としていたが、F15EXは米軍全体の調達計画に遅れが生じている。2年をかけて更新を行うとした計画の詳細は明らかではない部分が多い。

 米軍はアラスカ州の基地からF22を暫定配備することで抑止力の維持を図る考えだが、夜間や早朝の飛行を制限する騒音規制措置が外来部隊に周知されない懸念など、周辺住民にとっては負担が増す恐れがある。

 一方、F22を頻繁に運用すれば飛行パターンが知れ渡り「ステルスの意味が減ずる」との指摘もあり、どの程度、沖縄周辺で運用されるのかは不透明だ。

(明真南斗)