マウンド不調の鬱憤、打席で晴らす 沖尚・東恩納が九回に2点適時打 高校野球秋季九州大会


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海星―沖縄尚学 9回1死満塁、逆転のサヨナラ適時打を放つ沖尚の東恩納蒼=28日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(大城直也撮影)

 マウンド上では不調でも打席で活躍した。沖縄尚学の東恩納蒼が、6失点の鬱憤(うっぷん)を晴らす逆転サヨナラ2点適時打でチームに勝利をもたらした。2戦連続の劇的サヨナラ勝ちに、会場は地鳴りのような歓声が響き、チームに大きな笑顔がはじけた。

 初戦と準々決勝で完投し、この日も先発した東恩納。初回、先頭打者の打球が右足に当たった。痛みで足をかばい、思うように腕が振れなくなった。相手打線にじわりと捉えられ、五回に本塁打を浴びた。六回は4連打され、途中で無念の降板となった。しかし九州大会で好調な打撃力が買われ、ベンチに戻らず左翼に就いた。

 救援陣が相手を無失点に抑えて迎えた九回。安打と犠打などで1死満塁の好機に打席が回ってきた。それまでの試合は7番だったが、この日は5番に入り初回に適時打も放っていた。2ストライクに追い込まれてから6球続けてファウルで粘って9球目。内角のスライダーを右にはじき返し、走者2人を本塁に迎え入れた。

 「最後まで粘れたのは応援の力」と感謝しながら、6失点に「エースとしてふがいない」と反省。決勝に向け「普段通りの力が出せれば」と周囲の助けも信じて頂点を目指す。

(金良孝矢)


 来春の選抜大会につながる高校野球の第151回秋季九州地区大会第5日は28日、沖縄市のコザしんきんスタジアムで準決勝を行い、沖縄尚学(沖縄1位)が海星(長崎2位)に7―6の逆転サヨナラ勝ちを収めた。17季ぶり7度目の決勝進出を果たし、甲子園出場をほぼ確実にした。決勝は29日正午、同球場で長崎日大(長崎1位)と対戦する。沖尚は初回、相手先発の立ち上がりを攻めて3点を先制。四回に1点を加えるが、徐々に先発エース東恩納蒼が捉えられ六回に逆転を許した。七回に相手の暴投で1点をかえし、最終九回で5番東恩納が2点適時打を放って勝負を決めた。優勝校は11月18日から東京都で始まる明治神宮大会に出場する。