小中学生が労働、納税、選挙…主権者意識を体験から学ぶ 仮想自治体「にしはら」琉大生が企画


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「miniにしはら」で働いて得た給与でカレーを買う参加者(右)=10月10日、西原町中央公民館

 仮想自治体「miniにしはら」が10月8~10日の3日間、西原町中央公民館を舞台に展開された。町を運営したのは100人を超える小中学生。フォースと呼ばれる通貨を使い、所得税や住民税を納め、選挙で町長も選んだ。仕掛け人は、琉球大学の学生団体FORCEの10人。主権者としての意識を体験的に学べる場をつくろうと、2年以上の時間をかけて取り組んだ。学生たちは子どもたちの自治活動を陰で支え、まちづくりに参画することの「楽しさ」を子どもたちと再確認した。

 「どこで仕事してたの」「税務署。銀行で給料を受け取ってくる」「町長が賃上げしてくれてよかった」。子どもたちは労働や納税、選挙を体験した。仮想自治体には役場や銀行、警察署、花屋、ゲーム店などがあり、子どもたちは一定時間働いて給与を得て、そのお金で昼ご飯を買って食べた。子どもたちの中には見守る保護者に「カレーを買ってあげようか」と、給与でごちそうする子もいた。

 2日目には町長選挙が行われた。立候補したのは小中学生3人。「町を花いっぱいにする」「あいさつしたらフォースで還元」など、住民の前でそれぞれ公約をアピールした。当選したのは琉大付属中1年の中本匡哉(たくや)さん(13)。「やりがいと給与が見合っていない」と賃上げを公約に掲げ、票を集めた。中本さんは「当選するために言葉を選んで説明した。公約実現の大変さも分かった。自分が投票するときの参考になる」と話し、選挙は「難しくて楽しい」と笑顔を見せた。

 住民として参加した坂田小5年の高山陽和(ひより)さん(10)は「選挙は誰がいいか決めるのが難しかった。働くのは意外と大変なんだと分かった」と話した。天妃小4年の宮里希子さん(9)は「頑張って働いてよかった。自分のお金で買ったご飯はおいしい」と話し、高山さんと一緒にカレーを頬張った。

 FORCE代表で4年生の上間琴乃さん(22)は「開催できてよかった。選挙も納税も、実際やってみることで初めて具体的にイメージできる。選挙などを身近に感じられるきっかけになったと思う」と、充実感に満ちた3日間を振り返った。
 (嘉数陽)