双子の育児、不安な人はいませんか?経験者のママ3人が「おきなわ多胎ネット」発足 楽しい育児へサポート、行政と連携も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「おきなわ多胎ネット」を立ち上げた儀間志乃さん(後列右)、高甫玲美さん(同中央)、内間美沙紀さん(同左)(提供)

 沖縄で多胎育児をしている家庭の孤立を防ぎ、楽しく育児できるような支援をする一般社団法人「おきなわ多胎ネット」(浦添市)が10月6日に発足した。メンバーは代表理事の高甫玲美さん(33)=浦添市、副代表理事の内間美沙紀さん(38)=豊見城市、儀間志乃さん(42)=南城市。3人とも双子の育児に奮闘するママ。高甫さんは「経験者だからこそ分かる必要な支援がある。育児を楽しんでもらえるよう幅広くサポートしていきたい」と決意を語る。

 きっかけは高甫さんと内間さんがそれぞれ立ち上げた多胎児家庭を支援する会だった。高甫さんは2021年に第4子、第5子となる双子を出産後に産後うつになった。訪問看護などに支えてもらい自身や家族のケアをしたが、同じような境遇の人と悩みを共有できるような場がなかったことから、当事者同士でその苦労や楽しさを分かち合おうと「双子会」を始めた。

 内間さんは東京にいた19年に初産で双子を出産した。近くに育児を頼れる親戚はいなかったが、多胎児家庭の支援団体やネットワークが育児を支えてくれた。だが子どもが1歳になる頃に沖縄に戻ると、多胎児家庭を支援する制度や団体がほとんどないことに驚いたという。「助ける手も仲間も少なくて、住む場所によって双子の環境がこんなに違うんだって思った」と話す。その後、県外で参加していたような多胎児の異年齢交流を目的とした会を浦添市で開いた。

 内間さんの職場の同僚でもあった儀間さんは第7子、第8子となる双子を出産前、双子育児の大変さばかりを耳にして不安が募ったという。「これが初産だったり、周りに頼れる人がいなかったりしたらもっとしんどかったと思う」と振り返る。

 それぞれにコロナ禍で出産をしたり初産で双子を授かったり早産だったりと経験が異なったが、外出が大変なことや、他のきょうだいの育児との両立、ミルクやオムツの消耗の早さなど多胎児ならではの悩みは共通していた。市町村によって行政の支援に差がある現状も見えてきたことから、行政とも連携しながら広く支援ができるような活動を展開しようと団体設立へと動き出した。現在までに約70家庭とつながりができているという。

 今後の予定としては、本年度は双子会を定期的に開催し、ママたちが集まれる場を作る。来年度以降はそれぞれの居住地域を中心に、多くの多胎児家庭とのつながりを作っていく予定だ。また家庭の事情に合わせたきめ細やかな支援ができるようピアサポーターの育成も目指す。さらに子育てに関する商品企画やレンタル事業、子育てイベントを通した地域活性化など、幅広くさまざまな形で多胎児家庭を支援していく。

 高甫さんは「これからは仲間を増やして、ママたちのニーズに合わせた活動をしていきたい」と意気込みを語った。問い合わせはQRコードの同団体公式インスタグラムから。
 (嶋岡すみれ)

※注:高甫玲美さんの「高」は旧字体


一般社団法人おきなわ多胎ネット