沖縄を描いた数々の名曲「沖縄音楽の素晴らしさを世に伝えた人」 普久原恒勇さんの訃報に関係者から悼む声


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普久原恒勇作曲60周年記念で演じられた「史曲・尚円」の舞台=2021年12月5日、沖縄市民会館大ホール

 沖縄を描いた数々の名曲を生んだ音楽家、普久原恒勇さんの突然の訃報に音楽活動を共にしてきた関係者から惜しむ声が聞かれた。

 普久原さんは12月に自身の作品とクラシック音楽を融合させたコンサートを予定していた。長年、普久原さんと共に音楽活動をしてきたフォーシスターズの伊波智恵子さんは「先生は12月のコンサートを成功させようと、アレンジに際して、出演者に伝えることを時間があればメモしていた」と、最期まで音楽への情熱を持ち続けた姿を振り返る。

 フォーシスターズの伊波みどりさんは「先生は本土の人からも作曲の依頼を多く受けたが『自分はうちなーんちゅだから、曲はここでしか生まれない』と沖縄で作ることを大切にしていた。古い歌も大切にしながら、沖縄の新しい歌の世界を追究し続け、たくさんの歌を残してくれた」と感謝を述べた。

 みどりさんによると、普久原さんは「娘ジントーヨー」など、自身の作品の作詞を数多く手掛けた久米仁さんが9月に亡くなったとき、ひどく落ち込んでいた。一方で、若い実演家が普久原作品を歌い継いでいることを喜び、頼もしく思っていたという。

 作詞家として普久原さんと共作してきた、音楽プロデューサーの備瀬善勝さんは「数多くの作品を発表し、沖縄音楽の素晴らしさを世に伝えた人だった。これほどの作曲家はいないと思う」と語る。「2人でたくさん歌を作ってきた。どの曲も思い出に残っている。最近は体調を崩した私のことを普久原さんは気遣ってくれていたが、先に逝ってしまった。もう少し生きてほしかった。残念だ」と普久原さんを悼んだ。


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