「芭蕉布」「ふるさとの雨」など、生み出した名曲の数々が「普久原メロディー」として県内外で親しまれた、戦後沖縄を代表する作曲家の普久原恒勇(ふくはら・つねお)さんが1日、死去した。89歳。同日午後、沖縄市内の自宅で倒れているのを家族が見つけ、病院に搬送されたが、同3時頃、死亡が確認された。
1932年大阪市西淀川生まれ。沖縄で幼少年時代を過ごした後、大阪に戻り、養父・普久原朝喜(ちょうき)の起こしたマルフクレコードを手伝いながら、大阪の音楽院で西洋音楽を学んだ。59年に帰郷し、コザを拠点に、琉球古典音楽や琉球民謡のプロデュースに携わった。
61年から作曲を始め「月(ちち)眺み」でデビュー。65年に普久原メロディーの代表曲「芭蕉布」を発表。「ゆうなの花」「ふるさとの雨」「ヘイ!二才達(にーせーたー)」「娘ジントーヨー」など風土愛にあふれる新しい楽曲を生み出し作曲数は500曲を超える。
作曲とプロデュースを手がけながら「フォーシスターズ」や「ホップトーンズ」ら歌い手を育て上げ作品を次々と発表した。沖縄の民族楽器を用いた民族音楽詩曲「響(とよむ)」や史曲「尚円」などの作品も発表し、壮大な古典音楽とも言える新しい曲作りに情熱を注いだ。普久原音楽事務所代表。93年に県文化功労表彰(芸術文化)、03年に第1回宮良長包音楽賞、16年に琉球新報賞、18年に第5回JASRAC音楽文化賞受賞など受賞多数。著書に「ぼくの目ざわり耳ざわり」がある。
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