女子重量挙げ 55キロ級の佐渡山、高校59キロ級で比嘉が全国V 全日本選抜選手権


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 重量挙げの第14回全日本女子選抜選手権大会は2日、北海道士別市総合体育館で開幕した。一般55キロ級の佐渡山彩奈(宮古高―平成国際大出、いちご)がともに大会新となるスナッチ89キロ、ジャーク105キロで2種目を制し、トータルでも大会新となる194キロで頂点に立った。同59キロ級の大湾ゆみか(日体大)はスナッチ82キロ、ジャーク97キロのトータル179キロで3位に入った。高校59キロ級の比嘉成(本部2年)はスナッチで大会新の85キロ、ジャーク100キロ、トータルで大会新の185キロを記録して優勝を飾った。

佐渡山 彩奈

佐渡山、パリ五輪見据え 圧巻勝利、3度目頂点 

 4月に日本選手権初優勝を飾った55キロ級の佐渡山彩奈(いちご)が、とちぎ国体に続けて今年3度目の日本一をつかみ取った。トータルの自己新はかなわなかったが、スナッチで自己新を記録し、ジャーク、トータルでも大会新をマークした。2位を13キロ引き離す圧巻の勝利だった。

 スナッチ3回目。2回目に自己ベストを上回る88キロで失敗したが、攻めに出た。さらに重量を1キロ増やして挑み成功させた。

 突き動かすのは来年の世界選手権、さらに先のパリ五輪出場だ。そのためにも出る試合は「1キロでも多く上げていかないといけない」と自らを奮い立たせている。

 ただジャークで記録更新に持ち込めず、トータルは伸ばせなかった。国体から1カ月も満たない中での試合。「いつもは試合後、気持ちが切れる。今回体調を維持できたのは良かった」としつつも悔しさは大きい。来年は一つの上になるパリ五輪の階級に照準を合わせ、苦手な体重増にも本格的に取り組む。課題は山積みだが「どうせやるならいけるところまで。後悔はしたくない。ちゃんと頑張りたい」と強い決意で競技に向き合っていく。 (謝花史哲)

比嘉成

比嘉「やっと取れた」弱点のジャークで壁突破

 「ようやく。やっと取れた」。高校59キロ級の比嘉成はジャーク2回目で念願の100キロに到達した。スナッチ日本高校記録保持者が、弱点とするジャークで一つ壁を突破した。

 1回目の95キロから自己記録の97キロを飛び越し100キロをつかみにいった。「優勝は決まってたから勝負に出ようと思った」。気兼ねなく試技に向き合えたことが気持ちを楽にした。

 とちぎ国体は不本意な成績に終わった。その後もできると思っていても失敗が続き、少し自信をなくしかけたという。その中で取り組んだのがフォームを基礎から見返すことだった。

 一つ一つ丁寧に動作を確認した結果が今大会現れた。「半分以上はメンタルの問題だったと思う」と、ジャークで記録を伸ばせたことで自信を取り戻した。

 フォーム確認の中で引き上げを速くする練習に取り組んできたことも奏功した。得意のスナッチでは、日本高校記録に相当する91キロを軽々と挙げ、勢い余って後ろに落としてしまうほど。上げていればトータルでも日高新だった。「この調子でスナッチを伸ばせばジャークもついてくる」と記録樹立を射程に捉え、成長を誓った。
 (謝花史哲)