象徴復活へ「光見えた」 経済界、観光活性化に期待 首里城正殿起工式


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首里城正殿復元整備工事の起工式=3日、那覇市の首里城公園内木材倉庫(ジャン松元撮影)

 2019年の火災で正殿など7棟が全焼した首里城は3日、正殿復元整備工事の起工式という大きな節目を迎えた。この間、寄付などを通じて復元への機運を盛り上げてきた経済界からは、沖縄の象徴の復活へ向けて期待と歓迎の声が上がった。

 首里城火災翌年の20年以降、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、沖縄の基幹産業の観光業などが大打撃を受けた。沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は起工式を迎え「待ちに待っていた一歩が踏み出せてとてもうれしい。やっと一つの光が見えた」と喜びを口にした。火災で被害を受けた美術工芸品など文化財の修復には、建物の復元よりも長い年月がかかると見込まれていることについて「人材育成や技術の継承など、息の長い取り組みが必要になる。官民挙げて、みんなで担い続けていきたい」と話した。

 県酒造組合の佐久本学会長は、首里城の復元によってより多くの人が琉球王国の歴史に関心を持つことに期待している。「泡盛は琉球王国時代に発展し、お土産やおもてなしに使われてきたお酒だ。首里城は450年という琉球王国の長い歴史を感じられる場所で、再建はとてもありがたい」と話した。

 起工式に参加した那覇空港ビルディングの安里昌利社長は、工事の過程を公開する「見せる復元」に期待する。「火災以前は、修学旅行で首里城を訪れる学校がとても多かった。工事の進捗(しんちょく)を見せてもらえるのは、完成までの間に空白を生まないという意味で観光支援としても大きい。最大限生かしていきたい」と話した。  (沖田有吾)