ブラジルの県人情報紙を沖縄県立図書館に寄贈 県系3世の知念さん「資料収集に協力できれば」


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宮城威館長(左)に「ウチナープレス」を寄贈する知念バネッサさん=2日、那覇市泉崎の県立図書館

 ブラジル在住の県系3世、知念バネッサさん(44)は2日、ブラジル県系人コミュニティー新聞「ウチナープレス」を県立図書館に寄贈した。沖縄の文化や伝統を次世代に発信し保存することを目的に、知念さんの夫が1996年に創刊した。

 現在は知念さんが2~3人のボランティアメンバーとともに取材・編集を手がけている。日本語やうちなーぐちが分からない若い世代が増えており、沖縄に関する情報を途絶えさせないことで、アイデンティティーを継承する狙いもある。

 24ページを発行しており、県系ブラジル人が多く参加する「沖縄フェスティバル」など特別な月には40ページに増やして特集している。発行部数は3500部で、読者の95%が県系人という。

沖縄関連情報をポルトガル語で発信する「ウチナープレス」

 県系人が多く住むサンパウロを中心とした沖縄関連の情報や、沖縄社会で起きている出来事を発信している。記事はほぼ全てがポルトガル語。

 294号目となった2022年10月の紙面には、トートーメーに関する記事や県人会各支部の活動状況、琉歌の翻訳、沖縄県知事選の結果などが掲載されている。最近は紙面のデジタルデータ化を進めている。

 県立図書館には20年1月から22年10月までの約3年分の紙面(一部はデジタルデータ)を寄贈した。知念さんは「(ブラジルには)沖縄の文化に関心を持っている人が多くいる。図書館の資料収集に協力できればと思う」と話した。

 県立図書館の宮城威館長(59)は「海外にいる人の情報はなかなか集められないので、非常に貴重な資料だ。活用させていただく」と感謝した。
 (中村優希)