作家・湊かなえさんが宮古島に“恩返し” 高校生に特別授業「楽しい寄り道して、想像の枠を広げよう」


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生徒に語り掛ける作家の湊かなえさん=10月28日、宮古島市の県立宮古高校

 【宮古島】本屋大賞を受賞した「告白」などで知られる作家・湊かなえさんによる特別授業が10月28日、沖縄県立宮古高校で開かれた。湊さんは「ナンバーワンは難しいしオンリーワンはもっと難しい。楽しい寄り道をして想像の枠を広げてほしい」と語り掛けた。

 特別授業は湊さんが大学生だった時に宮古島を訪れ、島の人たちにお世話になった「恩を返したい」との思いで実現した。事前に湊さんから生徒たちに出された課題への回答を基に進められた。授業の様子はオンラインで全教室につながれ、全校生徒が参加した。

真剣な表情で湊さんの話に聞き入る生徒ら

 湊さんからの課題は「パン屋として一番売れるパンを考えて」や「殺人事件の現場に残された物から犯人が特定された。その物とは?」など小説を書くに当たってのブレーンストーミングの楽しさを体験できる内容。湊さんは物語の構成や読者が引っかかりを感じる単語などギャップの作り方が大切と説いた。「頭が柔軟な皆さんは書きながら新しい気づきが得られるはず。想像の枠を広げて、外からの言葉を自分の物にしてほしい」と語り掛けた。

 生徒を代表して、3年生の生徒が「書く側の視点は発見と感心の連続だった。私も湊さんのようなオンリーワンの文章を書きたい。人生において最も貴重な時間だった」と感謝の言葉を述べた。

(佐野真慈)