那覇で離島奪還を想定した模擬訓練 陸自第15旅団が空自、米海兵隊と連携 駐屯50年記念行事


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離島に上陸した武装勢力を掃討する想定の訓練展示=6日、那覇駐屯地(又吉康秀撮影)

 陸上自衛隊第15旅団(井土川一友旅団長)は6日、創隊12周年と陸自が沖縄に駐屯して50周年を祝う記念行事を那覇駐屯地で開催した。各部隊が車両で行進する観閲行進が催されたほか、陸自と航空自衛隊、米海兵隊が連携して、離島を占拠した武装勢力からの奪還作戦を想定した訓練展示(模擬訓練)が実施された。

 例年「陸自祭」として駐屯地を一般開放しているが、新型コロナウイルスの影響を受け、今回は3年ぶりの開催となった。

 15旅団の前身となる臨時第1混成群は1972年3月に熊本県で編成された。沖縄が日本に復帰した5月15日に那覇分屯地が設置され、同10月の部隊の本格移駐に伴い那覇駐屯地に昇格した。混成群は翌73年に混成団に、2010年に第15旅団に昇格した。

 井土川旅団長は「15旅団は先輩が築いてきた歴史と伝統の下に、県民の皆さまからの大きな信頼を頂く存在にまで成長できた。南西諸島の抑止力の要として役割を果たし続ける」と述べた。

 玉城デニー知事の代理で出席した池田竹州副知事は、急患搬送や不発弾撤去などの功績を挙げ「崇高な使命感に基づいた活躍に対し、心から敬意を表する。今後とも県民の理解と信頼の下、責務を全うされることを心から願っている」と語った。

 模擬訓練は、ミサイルや航空機の支援を受ける武装勢力が離島を占拠したと想定。偵察部隊や情報部隊が目視やドローンなどで敵情を確認し、電子戦部隊が敵の通信を妨害。陸自ヘリや地対空ミサイルなどのほか、初めて登場した米軍の高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)が出動し、敵を制圧する一連の流れが披露された。
 (梅田正覚)

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