ひきこもりに理解がある社会の実現を目指して厚生労働省が実施している「ひきこもりVOICE STATION全国キャラバン in OKINAWA」が10月30日、県総合福祉センターで、オンライン併用で開催された。12月にかけて全国6ブロックで開催されるもので、今回が2回目。
「経済的・社会的・文化的困窮とひきこもりの関係を考える!」をテーマに、ひきこもりなどで生きづらさを抱えたメンバーが互いの力を補い合いながらコーヒーを販売する「アシタネコーヒートラック」の国吉英樹さん、元ひきこもりのゲーマー、J―Snake(新里渉)さん、沖縄タイムス記者の篠原知恵さん、NPO法人サポートセンター「ゆめさき」理事長で臨床心理士の松本大進さんによるパネルディスカッションが行われた。NPO法人沖縄青少年自立援助センター「ちゅらゆい」の金城隆一さんが司会を務めた。
小学6年生ごろからひきこもりになった国吉さんは「普通の人みたいにできないのが申し訳なかった」と家にいた当時の心境を振り返った。また「支援されるということは結局(支援する側とされる側で)分断される。助けてほしい気持ちもあったけど自分も頑張りたいと思っていた」と支援をめぐる複雑な心境を語った。
ゲームを通じて当事者の居場所を作ることなどを目的に活動しているJさんは、引きこもっていた当時、ゲームで仲良くなった友人が自殺した。友人もJさんと同じようにひきこもりだった。「今現在、ひきこもっている子が将来友人のような未来にいかないようにしたい」と、自分にしかできないサポートについて考え始めたきっかけを話した。
篠原さんはひきこもりの取材の経緯などを説明し、沖縄ではひきこもりに関して公的な支援がほとんどないことを問題視した上で「支援がないということは、家族や個人に課題が丸投げされ自己責任とされている」と指摘した。県や市町村はひきこもりの実数も把握できていないことから「当事者の意見をたくさん聞いて寄り添い方を考えてほしい」と訴えた。
松本さんは「心の傷の具体的なケアの方法が不足している」と支援する際の課題を挙げた。「ひきこもりの支援は皆にタッチしてほしいが簡単ではない。(周囲による)親へのヘルプも必要で、親子のコミュニケーションも大きなテーマだ」と支援者側の人材育成の問題などについて語った。
(嶋岡すみれ)