会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の11月例会が9日、沖縄県那覇市のロワジールホテル那覇で開かれた。ジャーナリストの石川一洋氏が「帝国と国民国家」と題して講演し、ロシアのウクライナ侵略の背景などについて語った。
石川氏はNHKで解説委員などを務め、ロシア・ウクライナなどで取材を重ねてきた。ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を決定した要因について、ソビエト連邦が成立した過程でロシアからウクライナが分離したことに触れ「それを元に戻すという『大ロシア主義』的な感情・思想がある」と分析した。
20世紀のロシアで、ロシア帝国からソ連が成立し、崩壊した経緯に触れ「(ロシアにとって20世紀は)革命と戦争の世紀だった」と強調した。経済的な混乱を極めた20世紀末のロシアにプーチン氏が現れ、支持を集めてきた点については「ロシア国民の安定を求める姿勢が基盤にあったが、ウクライナ侵攻はその基盤を崩す可能性がある」と解説した。石川氏は日本人に民族について説明する難しさを語る中で、沖縄に言及した。「沖縄の人たちには民族や国家が分かると思う。北東アジアにこの戦争を波及させてはいけない。中国との戦略対話で、沖縄の存在はつなぎ目になると思う」と語った。
(塚崎昇平)