スペインを拠点に国際的に活躍するピアニスト・西澤安澄のリサイタル「スペイン・ピアノ・リサイタル」(Tara音楽芸術舎主催)がこのほど、那覇文化芸術劇場なはーと小劇場で開催された。沖縄公演は昨年に続いて2度目。西澤はファリャやアルベニス、グラナドスなどスペインの作曲家の作品を中心に、観客と音楽でスペインを旅するように、多彩に楽曲を奏でた。
公演は、今年亡くなった沖縄尚学高校教諭の上野浩司さんへの追悼を込めて開かれた。上野さんは昨年那覇で沖縄初開催となった西澤のリサイタルの企画者。西澤は「沖縄との縁をつくってくださった。上野先生にささげたい」とタレガの「アルハンブラの思い出」(西澤編曲)を演奏した。
西澤は、昨年のコンサートの後に上野さんに連れられ首里城に行ったことを振り返り「グラナダのアルハンブラ宮殿も夕陽を受けると赤くなり、首里城を思い出します」と語り、胸の奥深く染み渡るような哀愁の音色を響かせた。
ダイナミックな陽気に満ちた楽曲から、情緒深く悲しみを感じる旋律など、スペインの各地方の違いや特色を豊かに奏で、フランスの作曲家も紹介。解説を交えたトークでも魅了した。
(田中芳)