
台湾本島から西へ約200キロ。大陸の福建省厦門側からわずか10キロ足らずの沿岸に、かつては軍事要塞(ようさい)として知られた離島がある。金門島だ。
島には不思議と沖縄と共通するところが多い。沖縄の泡盛同様、金門島にも島を代表する酒・高粱酒(コウリャンシュ)がある。金門島内各所で見られる守り神「風獅爺(フォンシーイェ)」は、まるで沖縄のシーサーだ。そんな見えない縁で結ばれた金門と沖縄を観光でつなごうという国際プロジェクトが今年、台湾で立ち上がった。その一躍を担う彭さんは今年の年末、金門と沖縄を初の直行便でつなぐツアーを企画した。

このプロジェクトのユニークなところは、携帯電話のGPS機能を使い、金門の「風獅爺」や沖縄のシーサーを巡ってスタンプを集めるゲームアプリがあること。日中英の3言語に対応したアプリの日本名は「シーサーを探せ」。アプリストアから無料でダウンロードできる。
沖縄では首里城歓会門のシーサーから、やんばるの海洋博公園内のシーサーまで計18体が登録済み。全部そろえると特製の記念品と交換できる特典もある。沖縄を訪れる観光客にも新しい旅の楽しみができた。
実は沖縄から金門島に直行のチャーター便で行けるツアーも同時に開催される。台湾本島とは趣の異なる食文化や歴史を持つ金門島。見どころも多いが、日本から観光に行くには、交通の便がよくなかった。今年の年末年始、アプリをダウンロードして、金門のシーサーと出合う旅に出かけてみてはどうだろう。
(素材提供・沖縄彭大家族・彭國豪、聞き書き・渡邉ゆきこ)