「100歳まで牛主続けたい」大会最年長の87歳、愛牛の「誠月龍」と挑戦重ね 連敗から復活、王者に健闘 秋の全島闘牛大会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
過去の大会で連敗しても復活し、挑戦を続けてきた誠月龍と牛主の安慶名誠一さん=うるま市石川

 【うるま】13日にうるま市の石川多目的ドームで開催された秋の全島闘牛大会。大会最年長の牛主、安慶名誠一さん(87)=うるま市=が育てた「誠月龍(まことつきりゅう)」が、メインマッチである重量級全島一決定戦に挑戦した。タイトル戦は2度目。大会3連覇中の絶対王者「闘勢琥珀(とうせいこはく)」に長期戦の末に敗れたものの、粘り強く闘い抜き、客席からは驚嘆の声が上がった。過去の大会でも連敗後に復活し、挑戦を重ねてきた誠月龍。安慶名さんは「よく頑張った」と愛牛をねぎらった。

 取組開始から約40秒。誠月龍が首根っこから押し込まれ、一度は敗走したかに見えた。しかし再び向き直ると角を突き合わせる。約3分15秒にも強烈な押し込みを受けたが、なおも向き合い闘志を見せた。客席からは指笛と拍手が飛んだ。

闘勢琥珀の牛主・平良恵さん(左端)と健闘をたたえ合う安慶名誠一さん(右端)=13日、うるま市

 その後は首の柔軟性を生かした持たせ込みで防御しながら、持久戦に持ち込んだ。膠着(こうちゃく)状態が続く中、互いの呼吸が荒くなっていく。しかし23分45秒、闘勢琥珀の押し込みに誠月龍はたまらず敗走した。

 11歳のベテラン牛。2017年のデビューから5連勝したが、最初のタイトルマッチに敗れ、その後は3連敗。2年間の休養を挟んで今年3月に白星をつかむと、春の全島大会でも勝利。えりすぐりの牛が選ばれる全島大会で2度目の挑戦牛に選ばれた。3連敗からの復活劇は異例で、闘牛関係者も驚いている。

 取組後、安慶名さんは闘勢琥珀の調教師の平良高敏さんと握手を交わし、互いに健闘をたたえ合った。安慶名さんは毎日、自ら手刈りした草を誠月龍に食べさせて愛情を注ぎ込む。「牛主を100歳まで続けていきたい」と笑った。
 (古川峻)