県平和祈念資料館などが主催する「『平和への思い』発信・交流・継承事業」の成果報告会が12日、那覇市松尾の八汐荘で開かれた。沖縄、長崎、広島のほかオンラインで3カ国1地域から35人の大学生が参加した。
6日間の研修で学んだ各国・地域で起きた戦争や事件の内容を紹介したほか、平和を維持するために必要なことなどについて考えを共有した。
県内4大学から参加した沖縄の大学生は沖縄戦の遺骨収集を体験したことを踏まえ、「記憶継承だけで次世代に(平和を)残すことはできない。受け身学習から遺骨収集など体感する学習が必要だ」と話した。
カンボジアの参加者は旧ポル・ポト政権で起きた虐殺について紹介し「子どもたちに多様な文化を教育して、人種や宗教差別をなくすこと。政治のイデオロギーに関しては核や軍事力を使わず、平和的な方法で解決すべきだ」と話した。
パネルディスカッションでは沖縄キリスト教学院大学の新垣誠教授がモデレーターを務めた。対立や分断を生む「不信感」を払拭する方法などについて意見を交わした。
広島の学生は、不信感の要因はお互いの情報不足だとして、市民レベルの交流が必要とした。また「インターネットで海外の新聞を読むなどして、日本国内の報道が正しいのか、他国から日本がどう見えているのか自分で情報をつかみに行く必要がある」との意見も出た。
(中村優希)