【記者解説】前市長の見解は反対…那覇市政の継続性にも疑問符 米軍機の那覇軍港離着陸、知念那覇市長「白紙」発言


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座談会での知念覚氏の発言を報じた10月12日付2面の琉球新報記事(赤線を加筆)

 16日に那覇市長に就任した知念覚氏は、オスプレイなど米軍機の離着陸は那覇港湾施設(那覇軍港)の現有機能に含まれないとしてきた市の見解について「白紙の状態でいく」と述べ、再検討する考えを示した。本紙の市長選立候補予定者座談会では「オスプレイなどの飛来は到底容認できない」と述べていたが、就任初日に発言を翻した。突然の姿勢転換は市民、有権者への説明責任が求められる。

 城間幹子前市長は、那覇軍港での米軍機の離着陸が基地の使用目的などを定めた「5・15メモ」を逸脱しているとの見解を示し、反対してきた。知念氏も本紙座談会で「5・15メモが厳格に運用されるべきだ。訓練や航空機の離着陸の常態化はあってはならない」と述べた。

 市幹部は知念氏の「白紙」発言を「離着陸に反対というベースの部分はこれまでの市の見解と変わらないのではないか」と受け止めるが、野党市議は「国と協調姿勢を取る知念氏は反対できないのではないか」と指摘する。県が促してきた陸上輸送の実現性や民間航空機への影響などに関する具体的な議論が今後、焦点になりそうだ。

 就任初日の知念氏は16日、市民へのメッセージとして「約束したことをしっかり守っていく。監視してほしい」とも述べた。那覇軍港での米軍機離着陸は容認できないという姿勢は、政策発表会見で示した公約の中には含まれていないが、選挙に関連した言葉は重い。さらに、知念氏は城間前市長の後継でもあるため、市政の継続性にも疑問符が付く。就任初日に姿勢を変化させたことは政治への不信も招きかねない。
 (伊佐尚記)