津堅島パラシュート訓練、反対せず うるま市長が方針転換


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津堅島訓練場水域での米軍パラシュート降下訓練の市の方針について答える中村正人市長=17日、うるま市役所

 【うるま】米軍が実施する沖縄県うるま市津堅島訓練場水域でのパラシュート降下訓練について、中村正人うるま市長が「日米両政府で取り決めた事項であり、市から意見を申し上げることはない」と反対の立場から方針転換した。17日、本紙の取材に答えた。市議会の姿勢も変化しており、これまで抗議決議を19回可決してきたが、直近の9月定例会では、8月に訓練が行われたにもかかわらず、抗議決議は提出されなかった。

 中村市長は21年6月の市議会で同訓練に反対し、市として昨年8月にも沖縄防衛局に口頭で中止要請するなど反対の立場を示していた。方針転換した理由について「現在降下訓練が年に数回しか行われていない状況だ。訓練区域で事故が多発するようなものでもない」と話した。その上で「日米両政府において議論を重ねて国会で十二分に審議していただく懸案事項だ」とした。

 在沖米軍基地の使用目的などを定めた日米間の合意文書「5・15メモ」では、津堅島訓練場水域では「水陸両用訓練のために使用される」とあり、パラシュート降下訓練は明記されていない。市議会ではこの点を指摘し、今年4月の定例会でも意見書と抗議決議を可決していた。

 だが市議会基地対策特別委員会は5月末、沖縄防衛局などと現地視察を行い、視察した保守会派の議員から「市民への危険性は見当たらなかった」との意見が出た。定期船の航路と訓練域に距離があるとするなど、文言変更の要望が上がり、9月定例会では抗議決議などが提出されなかった。

 今年は訓練が少なくとも4回以上行われたが、沖縄防衛局は今年3月までに訓練の目視調査を取りやめた。訓練に反対し続けてきた勝連漁業協同組合の上原勇行組合長は、市の方針について「さまざまな異論が上がると思う」と疑問を呈した。
 (古川峻)