米軍基地アスベスト被害、遺族給付金の期限32年まで延長「被害者掘り起こしを」 支援の会が総会 沖縄・北谷


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「沖縄駐留軍関係アスベスト被害者及び家族、遺族支援の会」の総会で当山尚幸弁護士の講演に聞き入る玉城デニー知事(中央)=16日、北谷町

 【北谷】米軍基地でアスベスト(石綿)を吸い込み健康被害を受けた元従業員や家族の救済に取り組む「沖縄駐留軍関係アスベスト被害者及び家族、遺族支援の会」(座間味正子会長)の総会が16日、北谷町商工会ホールで開かれた。

 衆議院議員時代にこの問題を国会などで取り上げてきた玉城デニー知事も参加し、「復帰前後の社会の情勢によって長く取り残されてきた、命に関わる重要な問題だ。国がしっかりと責任を持つべき問題だと正確に分かった」と話した。

 同会などによると、9月時点で311人が国の発行する健康管理手帳を持つ。44人が労災認定された。国に損害賠償を求めた訴訟は、現時点で県内で12件、全国も含めて22件が和解した。

 総会で自身の経験を話した男性(78)=中城村=は、自覚症状はなかったものの、健康診断でアスベスト被害の可能性を指摘された。同会などに手続きを相談し、労災認定されたことで手術などの費用負担はなかった。「いろいろな症状があり50年後に発症することもあるのが恐ろしい。早期発見できてよかった」と話した。

 総会ではそのほか、被害者の証言などを動画で撮影して記録として残すことなどが話された。

 今年3月までが請求期限だった「特別遺族給付金」は期限が2032年3月まで延長されており、座間味会長は「10年間で被害者を掘り起こし、支援を頑張っていきたい」と話した。相談などの問い合わせは沖縄駐留軍離職者対策センター、電話098(923)0151。
 (古川峻)