ジャンル超え熱く 日野皓正&ケイコ・リー LIVE IN OKINAWA


社会
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 「日野皓正(てるまさ)&ケイコ・リーLIVE IN OKINAWA」(RUN INC.主催、ラジオ沖縄、琉球新報社共催)が10日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれた。国際的ジャズ・トランペッターの日野皓正(てるまさ)とジャズシンガー・Keiko Lee(ケイコ・リー)の2組が登場。ジャズをベースにジャンルを超越した熱いステージが約500人の観客を魅了した。

包み込むようなハスキーボイスで魅了するケイコ・リー(喜瀬守昭撮影)

 前半はケイコ・リー(ボーカル)、岡沢章(ベース)、野力奏一(ピアノ)、大槻“kalta”英宣(ドラムス)のケイコ・リー・グループが、マイケル・ジャクソンやクイーン、ビートルズの名曲のカバーを披露した。心地よい音色に、リーの低音の包み込むような優しい歌声が会場を包んだ。

 リーは「何十年と音楽生活をしているが、今回の沖縄公演で日本の47都道府県を制覇した」と喜んだ。「やっと今日、皆さんとお会いできたのは奇跡。本当にうれしい。これからは毎年来たい」と胸に手を当て語り、拍手が沸いた。

 オリジナル曲「ディスタンス(星たちの距離)」の英語バージョン、「Street Life」など深みのあるハスキーボイスも会場を彩った。トリに「If It’s Love」を披露。最後は4人が肩を組み、観客に投げキスをして、バトンタッチした。

 後半は日野(トランペット)、加藤一平(ギター)、高橋佑成(ピアノ)、小川晋平(ベース)、高橋直希(ドラムス)の日野皓正クインテット。日野のオリジナル「Still Be Bop」で幕を開けると、生命力あふれる力強い演奏で観客をくぎ付けにした。日野は身体全体が楽器のようで、トランペットを巧みに奏でた。

県出身のドラマー・和丸を迎えて、迫力の演奏を見せる日野皓正(トランペット)ら=10日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(喜瀬守昭撮影)

 「川の流れのように」を披露した日野は「サンキュー・ソーマッチ」と笑顔を見せた。「多くのお客さんがいる前で吹けるというのは、こんなにうれしいことはない。最高です」と喜び、MCでアメリカでの生活や、復帰前に初めて訪れた沖縄の思い出なども振り返った。

 後半の「KIZUNA」では、日野がグランドピアノの弦を指で弾いたり、トランペットをピアノの弦に向かって思い切り吹き込んだりするなど、想定しないようなパフォーマンスを繰り広げた。トランペットの高音のはじけるような音色と、その振動で共鳴するピアノ弦のかすかな音など、芸術的に奏でられた。

 終盤に、16歳で日野に認められ、クインテットのメンバーとして共演した阿嘉島出身のドラマー・和丸を舞台に迎え、日野の弟・元彦が作曲した「It’s There」をセッションをした。大槻、高橋、和丸のドラマー3人が交互に入れ替わり、日野はコンダクターも務めた。若手それぞれの演奏を最大限に生かしながら、舞台を最高潮に盛り上げた。アンコールに「STARDUST」をソロで奏で、幕を下ろした。

(田中芳)