復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月20日「総選挙きょうスタート/沖縄5議席めぐり8人激突」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月20日の琉球新報1面トップは、「総選挙きょうスタート/5議席めぐり激突/8人が立候補予定/けさ公示/問われる復帰の実態」との見出しで、20日の衆院選公示と沖縄選挙区では自民3人、社大、人民、社会、公明、無所属各1人の計8人の立候補が見込まれていることなどを伝えている。関連で「全国で900人か/立候補」の見出しで全国の立候補状況も掲載している。

 選挙のこぼれ話などを連載する「選挙レーダー」も始まり「〝自民乱立、革新内ゲバ〟」との見出しを掲げている。記事では「とにかく双方とも陣営内の票の食い合いが激化するのはさけられない。某候補などは『自分の身内の票を食った方が確実に票が読めるし、相手陣営を切り崩すとなると倍の精力を使う』と断言するほどだ。保守、革新とも、どうにか内部抗争だけはさけさせるため、19日はその歯止めに懸命となっていたが、どうにもうまく調整できなかったようだ」と記している。

 19日投票された那覇市長選と市議補選について「午前中に当落判明/那覇市長・市議補選きょう開票/投票率60%割る」との見出しで、20日午前8時半から那覇市民会館で開票され、当落時刻の見込みを伝えている。記事では「投票の結果は、予想をはるかに下回る低い投票率となって現われたが、争点の定まらない選挙戦に終始したことと、県知事選挙に次ぐ戦いで有権者に選挙疲れがみられたこと。それに復帰ショックで政治への不信感が高まった―などが理由にあげられている」と記している。

 復帰後の沖縄への自衛隊配備に関連して「きょう飛行訓練開始/自衛隊」との見出しで、那覇基地に配備された航空自衛隊の主力機F104迎撃戦闘機が20日から飛行訓練を始めることを伝えている。記事では「返還協定で〝完全返還〟するといわれた那覇空港は、依然として米軍機が居座っているだけでなく新たに自衛隊機が飛行訓練を開始することによって一層、軍事色が濃厚になると同時に、過密化が促進され、事故発生の危険性が指摘されている」と記している。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。