「原告の適格認め判断を」 都市住宅学会で辺野古弁護団が報告


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辺野古空撮(資料写真)

 都市住宅学会の全国大会の一環で「環境の行政・司法コントロールの限界と政策課題を探る」と題したワークショップが20日、福岡市内で開かれた。法学者や経済学者らが登壇し、日本での環境規制の問題点を議論した。辺野古新基地建設を巡る住民の訴訟弁護団の赤嶺朝子弁護士は、裁判所が原告適格を認めず、軟弱地盤問題などに関する国の判断が適法かどうか判断されていない現状を語った。

 県による辺野古沖の埋め立て承認撤回を受け、国土交通相は撤回を取り消す裁決をした。この裁決の取り消しを求める辺野古周辺住民の訴訟では、20年3月の執行停止に関する決定は一部の原告適格を認めた。だが、今年4月の那覇地裁判決は一転して原告適格を認めず、訴えを却下した。

 赤嶺弁護士は、米軍機による騒音被害は違法と判断されているが、飛行差し止めは認められていないとし「米軍基地の供用前は原告適格で問えず、供用後は違法があっても差し止められない。違法が放置されている状態だ」と批判した。

 政策研究大学院大学の福井秀夫教授も行政の違法を問う難しさや、裁判所の解釈論のひずみを指摘。中央大の安念潤司教授は「原告適格を認めて争わせ、違法な処分なら取り消した方がいい。違法のまま維持していると社会的コストは非常に大きい」と述べた。

 東洋大の石川徹教授、アジア成長研究所の八田達夫理事長、小島延夫弁護士も登壇。本紙の前森智香子記者もオンラインで参加し、意見を述べた。