沖縄県、1億3989万円の債権を放棄…利率引き下げ時に県議会の同意怠る モノレール社への貸し付け


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沖縄県庁

 沖縄県は21日、2000年度と03年度にそれぞれ銀行からの融資を受け、沖縄都市モノレール社(那覇市)に事業資金を貸し付けたが、返済途中の利率引き下げ時に議会の同意を怠っていたと発表した。地方自治法上、県は債権の放棄事案に当たるため県議会に諮る必要があったが、同意を得ていなかった。

 県とモノ社に実際の損害は発生していないが、本来は県が計1億3989万135円の債権を放棄した形になるという。

 県はモノ社にそれぞれ5億円と17億5900万円の事業資金を利率1.42%と1.6%で貸し付けた。県は当初、30年間の返済計画のうち、途中10年で銀行から借り換えをする予定だったが、実施しなかった。モノ社は17年、県が借り換えをしなかったことから返済利率をその当時の水準に引き下げることを求めた。県は合意し、0.08%に引き下げたが、21年にモノ社側から引き下げは地方自治法上の債権の放棄に当たるとの指摘を受けた。

 県は11月定例会に議案を提出し、債権の放棄について同意を得る。宮城力総務部長は「(同様のミスが)繰り返していて大変申し訳ない。内部統制について徹底することを進めている」と謝罪した。県は9月にも県条例で一定の予定価格以上の財産取得には県議会の同意が必要と定めているにもかかわらず、同意を得ずに新型コロナウイルスの抗原検査キットを大量購入していた不祥事があったと発表していた。
 (梅田正覚)