復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉11月23日「ハチマキ闘争は規則違反/在沖米軍通知」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年11月23日の琉球新報1面トップは、「県案と大筋で一致/沖縄振興開発審/〝アルミ〟も誘致へ/県側、公害防止を条件に」との見出しで、沖縄振興開発計画の政府審議会での論議の様子を伝えている。記事では「この日の審議会では、県側から知事原案に伴う10年後の経済目標(フレーム)について説明があり①人口150万人とし②生産所得を約3倍に引き揚げる③そのために第1次産業を2倍、第2次産業を5倍、第3次産業を2.8倍に引き揚げる―との目標が示された。これに対し、森永貞一郎委員(会長代理)から、第2次産業の振興と関連、アルミ企業に対する県側の考え方について質疑があった。屋良知事は『先に予定された石川市は立地上問題があるが、県としては他に立地があれば、これを否定するものではない』とアルミ誘致を進める考えを説明」と記している。

 基地従業員でつくる全軍労が9月に解雇反対などを訴えて「ハチマキ闘争」を実施したことについて「〝ハチマキ闘争は規則違反〟/在沖米軍通知/800人対象に処分/全軍労、撤回闘争の構え」との見出しで、米軍が減給処分などを実施していることを伝えている。記事では「米軍は、ハチマキ着用は在日米軍規則に違反するとして『ハチマキをとらないと賃金カットになる』と警告、就労者を実力で排除する職場もあった。米軍は9月分の給料から5883人の賃金を総額1164万800円カットした。1人当たり平均1979円になる。屋良知事は賃金カット撤回を米軍に要請したが、米軍側は撤回を拒否、メイプルズ在沖米陸軍司令官名でさらに『ハチマキ闘争参加者を近く処分する』と文書で県庁に通知していた」と米軍の対応を紹介している。

 公示された衆院選の裏話などを伝える「選挙レーダー」は「地下潜行作戦で内ゲバも」との見出しを掲げている。

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。