もし津波が来たらどう逃げる? 平良さん「地域の特性を知り備えを」 名護・宇茂佐で防災勉強会


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「日頃から地域の特性に合った防災対策を」と呼びかける平良守さん=16日、名護市の宇茂佐公民館

 【名護】沖縄県名護市宇茂佐区(宮城良勝区長)の防災勉強会が16日、宇茂佐公民館で開かれ、名護市出身で建設コンサルタント会社・エイト日本技術開発九州支社事業推進部琉球事務所長を務める平良守さんが「宇茂佐地区における津波発生要因とメカニズム」と題して講演した。平良さんは沖縄近海で地震が頻発しているとした上で「地域の特性を理解し、日頃から自然の変化や防災について考えておくことが大切だ」と呼びかけた。

 平良さんは全国のインフラ工事に携わりながら、地質や地形などに詳しい専門性を生かして防災についても東日本大震災前から岩手県釜石市などに助言してきた。

 平良さんが県に協力して作成した津波襲来のモデルによると、久米島地方沖で巨大地震が起きた場合、34分後に名護に最大8.4メートルの津波が到達する。宇茂佐地区には名護湾からさかのぼってきた津波が押し寄せ、屋部川を遡上(そじょう)して周辺の低地に被害をもたらすことが想定される。

 東日本大震災直後に現地入りした平良さんは、防災対策などで親交のあった釜石市の小学生が全員無事だった半面、様子を見に行って命を落とした人や避難しようと車の渋滞に巻き込まれて亡くなった人がいたことを振り返り「決して災害で誰も死んではならない」と強調。「一番高い所でなくてもいい。まずは北部農林高校や名護特別支援学校の校舎など周辺の高所に円滑に避難したり、建物の上の階に避難したりするなど、それぞれの地域の特性を理解したベターな選択を心がけてほしい」と話した。

 その上で「日頃から防災について話し合い、避難訓練をしている地域は被害を免れた。地域力を生かして『自分たちの命は自分たちで守る』という意識を持つことが大切だ」と述べた。勉強会には宇茂佐区の行政委員約15人が参加した。

(松堂秀樹)