金井喜久子作のオペラ「沖縄物語」、東京での40年前の上演の様子は…当時の出演者「再演は可能」


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1982年5月15日、NHKホールで上演された沖縄復帰10周年記念公演オペラ「沖縄物語」を振り返るテノール歌手、平良栄一(提供)

 沖縄の日本復帰10周年を記念し、1982年5月15日、東京都渋谷区のNHKホールでオペラ「沖縄物語」(主催・沖縄協会 故・金井喜久子作)が上演された。公演はプリマ・ドンナを務めたオペラ歌手・砂原美智子の引退公演も兼ねて開かれ、定員4千人の同ホールは満席。政治家や著名なタレントらも訪れ、注目を集め好評を博した。砂原の相手役を務めたテノール歌手、平良栄一に振り返ってもらった。(田中芳)

 テノール歌手、平良栄一は「復帰10周年という追い風が強かった。皆さんの気持ちが強く、実現できたのではないか」と振り返る。オペラ「沖縄物語」は、「瓦屋節」を題材に、歌や舞踊、空手など沖縄情緒も紹介するオペラの大作。オーケストラは新日本フィルハーモニー交響楽団、合唱は沖縄楽友会合唱団、日本オペラ協会合唱団、藤原歌劇団合唱部、琉舞は冠船流川田琉球舞踊団、空手は日本空手道光栄会松林流など、延べ200人以上が参加。演出は粟国安彦が担った。

 当時、警備上の理由で、鑑賞を予定していた天皇皇后、皇太子夫妻の出席が見送られた。平良は「脅迫の電話があったりと来られなくなった。それでもやろうということで強行し、無事終わった。それだけ大きな影響を持つ行事だった」と語る。

 金井作品は復帰から50年を迎えた今年も、さまざまな歌い手や演奏家に奏で続けられている。2026年は金井の生誕120年を迎える。平良は「追い風になって、いろんな人が協力するのは良いことだ。沖縄の歌い手は優秀。時間はかかると思うが、(オペラ「沖縄物語」の)再演は可能だ。やろうと思えばできる」と期待を込めた。


 金井喜久子の生涯を描いた「金井喜久子物語 朗読と音楽の調べ」が12月3日午後7時から、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催される。入場料は前売り券2500円、当日券3千円。チケットはデパートリウボウか、ファミリーマートで購入できる。