明け渡し期限まであと2年 宮古・下地島空港の周辺の耕作地どうなる? 農家と県の主張は平行線 沖縄


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
下地島空港周辺地利活用事業について説明する県の担当者ら=16日午後、宮古島市伊良部の伊良部公民館

 【宮古島】沖縄県は16日、宮古島市伊良部で進める下地島空港周辺用地利活用第3期事業についての説明会を伊良部公民館で開いた。同事業の対象地(県有地)では現在、農家約100軒が無償で耕作する。県は2024年度末までの県有地の明け渡しを改めて求めたが、農家らは「生活が立ちゆかなくなる」として耕作継続を訴え、両者の主張は平行線のまま終わった。

 下地島空港周辺の土地は空港(下地島訓練飛行場)建設に伴い、1971年に当時の琉球政府が下地島地主会から買い取った。その際に確認書を交わした。建設に使用しない土地は政府(県)が使用するまで無償で耕作を認めることと、耕作中および明け渡しにおける各補償は行わないなどと定めているあ。

 県は耕作者らを対象に説明会を今回を含めて3回開催し、24年度末までに耕作地の明け渡しを求めた。これに耕作継続を求める農家が反発し、今年6月には県土建部に要望書を、県議会に陳情書を提出した。16日の説明会で県は利活用事業の概要を説明し「確認書に基づいて(耕作地)を明け渡してほしい」として、確約書の提出を求めた。農家らは事業計画に沿った段階的な明け渡しも求めたが県は「約束できない。事業を計画する事業者と調整したい」とした。

 農家らは県の担当者に71年、当時の琉球政府に土地を売却した経緯について「みんな賛成して、喜んで土地を差し出したわけではない。島が活性化すると言われて悩んだ末だ」と訴えた。「確認書があるから無条件で渡せと言うが、確認書の原点は振興策で農家が救われるということだった。この50年、何かしてくれたのか。農家の思いをくみ取って納得する答えを出してほしい」と強調した。

(佐野真慈)