防衛省、廃棄物処理を継続 米軍北部訓練場跡地、世界遺産登録後も 環境団体「ユネスコに報告を」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
北部訓練場返還跡地で廃棄物として回収され、処分された空砲(報告書より)

 【東京】世界自然遺産の登録地域に含まれる国頭村安田の米軍北部訓練場跡地での廃棄物処理について、防衛省が作業を継続していることが25日、分かった。ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC、海勢頭豊代表)との国会内での交渉で明らかにした。

 SDCCなどが入手した防衛省の内部文書によると、作業は防衛省からの委託を受けた民間会社が、3月2日から8月31日にかけて実施。空砲など火工品計4580個、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくずなど計1227キログラムが回収されたという。

 国会内での交渉で、SDCCの吉川秀樹さんらは、2019年に世界自然遺産の登録に向けて国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出された推薦書で、環境省が土壌汚染や廃棄物などの「支障除去」を完了したと記載していたと指摘。その後も防衛省が廃棄物の処理作業を実施していたことについて、「ユネスコに報告するべきだ」と環境省に求めた。

国会内での防衛省との交渉で担当者に答弁を求めるSDCCの吉川秀樹さん(2列目右端)=25日、東京

 環境省の担当者は「世界遺産条約履行のための作業指針に沿って適切に対応したい」と述べるにとどめた。

 米軍北部訓練場跡地での廃棄物の処理作業を巡っては、21年2月の衆院予算委員会で、防衛省が、屋良朝博前衆院議員への答弁で、18年度に1360キロ分の産業廃棄物を処理し、19年度から20年度にかけて、大型鉄板計261枚、1万4670キロ、空砲類約1万5千発を回収・処理したと明らかにしていた。

 (安里洋輔)