外来種対策の3原則とは?沖縄でシンポジウム 五箇公一さんの講演「終わりなき侵略者との闘い」も


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外来生物の脅威と防除の現状を議論する登壇者ら =13日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館

 外来生物の脅威と防除の現状を議論する「おきなわ外来種シンポジウム~どうなってる? 何ができる? 外来種対策」(県環境部主催)が13日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で開かれた。約60人が来場し、約80人がオンライン参加した。登壇者は早期発見、早期対処のための周知と協働、外来種対策の3原則「入れない」「捨てない」「拡(ひろ)げない」の徹底、法的規制の強化などを訴えた。

 国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室の五箇公一室長が「終わりなき侵略者との闘い」と題し、オンラインで講演した。ヒトが生きていく上で生物多様性が欠かせない一方、ヒトが持ち込んだ外来生物が生物多様性を損なわせていると指摘。外来種増加は在来種の減少だけではなく、社会の脅威になっていると強調した。

 討論では、沖縄科学技術大学院大沖縄フィールド研究チームの吉村正志リーダーが特定外来生物のヒアリが沖縄に侵入した場合に社会にもたらす損害試算を示しつつ、早期発見、対処のための産官学連携を強調した。

 どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長は世界自然遺産に登録された沖縄島北部でノネコが及ぼす希少な固有種への被害例を示し、外来種対策の3原則徹底だけではなく、県条例を含めた法的管理・規制強化を訴えた。

 Endemic Garden Hの上開地広美環境部長は外来動物が注目される一方、外来植物への関心は低いことを指摘。「ツルヒヨドリ」の脅威を指摘し、計画的な防除を長期的に実施していくよう求めた。

 沖縄自然環境ファンクラブの藤井晴彦代表は住民と協働した特定外来生物のトカゲ「グリーンアノール」防除を紹介し、住民ボランティアだけでは活動に限界があることを指摘した。 (安里周悟)