復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉12月1日「那覇滑走路工事中、夜間緊急発進せず/防衛庁踏み切る」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。

 

 日本「復帰」した1972年12月1日の琉球新報1面トップは、「衆院選いよいよ終盤戦/拠点外テコ入れへ/低調、混戦状態に拍車」との見出しで、衆院選終盤の状況を伝えている。関連では、社会党の石橋政嗣書記長の動向として「論争回避、政党の責任放棄/石橋社会党書記長/自民党を厳しく批判」との見出しで、日本列島改造と4次防、土地・税制問題の「3つの緊急提唱」などについて自民党に公開論争を迫っているが対応が消極的であると紹介している。さらに別記事では、石橋書記長の自民党に対する政策対決姿勢として「平和外交で5つの提言/石橋書記長が対決第5弾」を発表したことも伝えている。

 那覇空港の老朽化から滑走路をかさ上げする工事を運輸省などが予定していることに関連して、同空港を利用する米軍機や沖縄配備の航空自衛隊の戦闘機の緊急発進に支障が出ると防衛庁が待ったをかけていた問題で「夜間緊急発進せず/5カ月間、防衛庁が踏み切る/那覇空港滑走路工事期間中」との見出しで、防衛庁が折れた格好となりそうだと伝えている。

 

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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。