沖縄県警職員5人「公認心理師」合格 被害者、少年たちの心により寄り添う 決意新たに


社会
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 被害者や少年たちの心により寄り添えるように―。沖縄県警の職員5人は、2022年7月に実施された国家資格「公認心理師」の試験に合格した。心理学の専門知識に加え、福祉や保健医療、教育などの各分野の知識を有する資格。5人は「関係機関と連携しながら、的確な支援ができるように頑張りたい」と決意を新たにした。県警職員の合格は昨年の4人に続き計9人となった。

「公認心理師」に合格した(前列左から順に)若林勤子さんと佐渡山香さん、喜屋武忍さん、崎原千裕さん(後列左から2番目)、天願亮子さん(同3番目)ら=11月21日、那覇市の県警本部

 合格したのは少年サポートセンター少年補導職員の佐渡山香さん(47)と同少年補導職員の天願亮子さん(51)、運転免許試験課の若林勤子さん(50)、豊見城署少年補導職員の崎原千裕さん(39)、糸満署少年補導職員の喜屋武忍さん(49)。5人は仕事や家事の合間、昼休み、休日を勉強時間に充てた。

 喜屋武さんと崎原さん、天願さんの3人はリモートで勉強会を開きながら励まし合った。天願さんは「なかなか覚えられないところも、仲間にアウトプットしたら、頭に入った」と振り返る。

 試験範囲が幅広いため、苦労も多かったという。喜屋武さんは「専門用語でつまずくこともあったが、教え合うことで乗り越えられた」と語る。

 2017年に新設された同資格は、取得するために大学院などで専門科目など学ぶ必要があるが、法施行後の特例措置として、22年度までは実務経験が5年以上あれば受験が可能。若林さんは「本年度がラストチャンス。応援してくれる人の期待に応えることができて良かった」と頰を緩ませた。

 試験勉強を通じて多角的に思考できるようになったという崎原さんは「今後、相談してきた少年やその家族に寄り添えるように関係機関と連携していきたい」と話す。佐渡山さんは「相談者の中には自身の悩みをうまく表現できない人もいる。『何が最適な解決策なのか』を模索しながら、今後も勉強を続けたい」と決意を新たにした。

 職員の公認心理師合格を受け、壱岐恭秀警務部長は21日、県警本部で5人を表彰した。

(友寄開)


合格、講師で手助け 与那嶺さん、実践見据え講義

 県警職員5人の国家資格「公認心理師」合格には県警少年サポートセンターの与那嶺蘭さん(40)によるウェブ講座が一役買った。与那嶺さんは「試験勉強に取り組むみんなの姿に心を押され、講師を務めた。5人も合格できてうれしい」と喜んでいる。

与那嶺蘭さん

 与那嶺さんは21年度に児童相談所から県警少年サポートセンターに派遣され、非行少年やその家族などの相談を受けてきた。公認心理師の資格を持っていた与那嶺さんは、毎週月曜日にウェブで講義を配信した。

 講義で意識したのは、合格した後のことだったという。「合格も大切だけど『学んだことを実践にどのように生かすのか』ということも解説しながら講義を進めた」と語る。

 合格者の糸満署少年補導職員の喜屋武忍さん(49)は「さまざまな行政機関の統計を紹介しながら要点をまとめてくれて、分かりやすかった」と話す。

 鎌谷陽之県警本部長は21日、県警本部で与那嶺さんに表彰状を贈呈し「専門的な知見を生かし、5人を合格に導いてくれたことに感謝する」と述べた。

(友寄開)