【記者解説】非正規職員の旧姓使用、沖縄県教委がこれまで認めなかった理由は? 非合理的対応、是正に期待


この記事を書いた人 アバター画像 瀬底 正志郎
職員の旧姓使用について「非常勤職員および臨時的に任用される職員を除く」と明記する県教育委員会職員旧姓使用取扱要綱

 旧姓使用を制度上申請できるか否かを職員の身分で差をつけることに合理的な理由は見いだせない。沖縄県教育委員会が非正規職員の旧姓使用を認める方針を打ち出したことは評価できる。県教委は年内に要綱を改訂し、各市町村にも通知する方針。県内では非正規職員にも旧姓使用を認めている自治体はほとんどないとみられ、各自治体でも非正規雇用者に対する差別的な対応が是正されることが期待される。

 県教委や人事課によると、非正規職員の旧姓使用の要望は数年に一回のペースでしか寄せられていなかった。このため人事担当者は積極的に対応しなかったとみられる。

 ただ婚姻後も生まれ持った戸籍名を捨てたくない人は一定数いる。県教委のように、現行制度を改訂して旧姓使用を認めることは必要だが、これだけで問題は終わらない。国が選択的夫婦別姓制度を導入すれば、各自治体の対応にかかわらず、希望者は姓を捨てる必要がないからだ。

 玉城デニー知事は2021年の本紙の取材で、選択的夫婦別姓制度の賛否について「基本的人権という観点からも、自由に選択できるという状況があってしかるべきだ」と賛意を示した。まずは自らが率いる県庁知事部局の非正規職員に対する非合理的な対応を改めるとともに、同制度導入の機運を高める取り組みも求められる。

(梅田正覚)