「ずっと走りたかった」「待ちわびていた」3年ぶりのNAHAマラソン、ランナーも沿道も活気 沖縄


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家族の名前を入れた自作のボードを持ち、沿道から手を振る女性=4日、八重瀬町の東風平中学校前

 「ずっと走りたかった」「待ちわびていた」―。3年ぶりに開催された4日のNAHAマラソンでは、ランナーたちが再び走れる喜びをかみしめた。沿道の温かい声援に力をもらい、懸命にゴールを目指した。

 スタートから約13キロ、八重瀬町の東風平中学校前では、同中や東風平小学校の児童生徒らが水やスポーツドリンクをランナーに手渡した。「頑張れ」と声を掛けた同中1年の屋宜紗希さん(12)は、「ランナーが『ありがとう』と返してくれた」と充実した様子だった。娘やめいの夫の名前を書いたボードを掲げ、「まだ行ける」と沿道から手を振っていたのは神谷安江さん(64)=八重瀬町。手作りのボードは「弟が一睡もせずに作った」といい、家族総出でサポートした。

 糸満市の平和祈念公園では午後0時15分に制限時間を過ぎると、スタッフがコースを封鎖した。間に合わずリタイアとなった仲田佳子さん(42)は、自身の職業である看護師の服装で走った。「早くコロナ禍が治まってほしい」との願いも込めたという。「沿道から『(医療従事者に)いつもお世話になっているよ』と温かい声をもらった。来年はゴールしたい」と話した。呉屋若可乃さん(24)=浦添市=は何とか制限時間内に通過し、「死ぬかと思った…」と座りこんだ。一緒に出場した東大地さん(24)=南風原町=は「大会を待ちわびていた」と笑顔を見せ、呉屋さんをせかして再び走りだした。

 40キロ地点のイオン那覇店前では「あと2キロだ」と声援が飛び交った。娘2人と沿道に立っていた前里通子さん=浦添市=は(47)は、夫の慎吾さん(36)が走って来るのを待ちながら「無事に完走して」と願った。

 ランナーたちは奥武山公園に戻ると最後の力を振り絞った。サンタクロースとクリスマスツリーの仮装をした田中健吾さん(54)=京都府、青木秀子さん(54)=静岡県=は無事に制限時間内にゴールした。2人は「やっぱりNAHAマラソンは応援が温かい」と笑顔を見せた。
 (伊佐尚記、金盛文香、中村優希)

※注:屋宜紗希さんの「宜」はワカンムリ