残り12キロ「常に足がつっている状態」限界突破したトップランナー宮城響がみせた意地 NAHAマラソン


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宮城響(左)が中間地点過ぎで山崎竹丸を捉えトップに立つ=4日、糸満市摩文仁(大会事務局提供)

 那覇市を発着点とし、4日に開催された第36回NAHAマラソン。南部路を巡る「平和祈念公園コース」(42.195キロ)で、男子は初出場の宮城響(名護市、JTARC)が2時間30分44秒でゴールし、栄冠に輝いた。女子は安里真梨子(豊見城市、らんさぽ)が2時間59分22秒で初優勝を果たした。女子の県勢優勝は2004年大会以来。男子の県勢優勝は5大会連続となった。男子2位は甲斐大貴(東京、JOHHOKUCABALLO AC)、女子2位はラディナ・レイ・ジャネル(米国)だった。

 容赦なく照りつける日差しに体力を奪われ、両足はけいれんし限界に近かった。しかし宮城響には「絶対に優勝してやる」という強い気持ちしかなかった。何度も足が止まるが、体にむち打つように苦悶(くもん)の表情で前へ。「県内マラソンは県内ランナーが盛り上げる」との心意気で果たした意地のゴールで、ほえながら両手を掲げた。

 新進の24歳。普段は上本部学園(本部)で教壇に立つ。名護高駅伝部を経て、皇学館大(三重)で駅伝とトラック競技に打ち込んだ。高校生の頃、公務員ランナーだった川内優輝がNAHAマラソンで新記録で優勝する姿をテレビで見て「ああいう選手になりたい」と憧れた。大学4年から本格的に始めたマラソン出場はまだ4度目。それでも練習に裏打ちされた自信を胸にレースに臨んだ。

 2位集団から中盤で勝負を仕掛け、力強い走りで一気にトップへ。27キロ以降に左太ももがつり始め、12キロを残して両足が「常につっている状態」だったが、沿道の声援に背中を押された。ゴール後の開口一番は、大会関係者や支援者らへの感謝だった。

 全身から大粒の汗を流しながら「見ていた側から見せる側になりたい」と頼もしい。魅了された競技の感動を、今度は自分が届けていく。
 (金良孝矢)