沖縄県那覇市安里の人気飲食店の50代女性店主が今年8月、建物の中で心肺停止の状態で発見され死亡が確認された件で、県警は鑑識や現場の痕跡などから他殺と特定し、殺人事件として捜査を進めていることが5日、捜査関係者への取材で分かった。県警は近く特別捜査本部を設置する方針。
飲食店は通称・栄町の「おでん東大」。捜査関係者などによると、8月、女性は店の入る建物内で倒れているところを発見され、県警に通報があった。現場や亡くなった状況などに不可解な点が見られたことから、県警は事件と事故の両面で調べを進めてきた。これまで店の周辺や関係者らから話を聞くとともに、複数回にわたって現場で鑑識作業を実施した。綿密な捜査の結果、女性は何者かによって殺害された殺人事件と特定したという。
店は約70年の歴史があり、祖母の代から続く老舗店。3代目の女性店主はメディアなどにも取り上げられ、連日、おでんや名物の「焼きてびち」を求め、多くの地元客や観光客でにぎわう人気店だった。今年8月、店主が亡くなったことを受け、9月に閉店した。
関係者によると、女性店主は亡くなる前日、いつもと変わらず元気で明るい様子だったという。店は旧盆に合わせ1週間程度休む予定で、女性店主は休み明けの営業を見据えて食材を発注していた。「あんなに元気で働いていた人が、急に亡くなっておかしいと思っていた。店は繁盛していたし、休み明けの注文も入っていた」と話した。
常連客の一人はこれまでの取材に「(女性店主は)職人かたぎで、働き過ぎではないかと思うほど、深夜から早朝まで店を開け、そのまま次の日の仕込みをしていた。仕事にひたむきに向き合っていた印象。突然、亡くなったと聞いてさみしかった。あんなに元気だった人が信じられない。『何かあったのでは』とうわさしていた」と明かした。
【関連記事】