【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設を巡る訴訟で、県による埋め立て承認撤回が適法かどうかには踏み込まずに門前払いとなった8日の最高裁判決。県と同様の訴訟を起こし、福岡高裁那覇支部で係争中の辺野古周辺の住民らは判決について、「司法は役割を果たしていると言えるのか」と批判した。
辺野古周辺住民は、埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めて提訴していた。「結果は予想していたが残念だ」。原告の男性(65)は声を落とす。「最後まで中身に踏み込まなかった。せめて聞く耳を持ってほしかった」と話す。「基地被害を受ける住民の理不尽な状況を知ってほしいとの思いで訴訟を続ける。黙ってはいられない」と力を込めた。
8日も米軍キャンプ・シュワブゲートでは新基地建設関連とみられる資材の搬入があり、30人以上の市民が抗議の声を上げた。抗議に参加した元原告の女性(74)は判決を受けて、「司法が行政に忖度(そんたく)しているようだ」と批判。その上で、「住民による訴訟はまだ続いている」と強調。「中身に入らず却下される前例を少しでもつくらせないようにしたい」と前を見据えた。
(長嶺晃太朗)