【名護】沖縄県立北部農林高校の生徒らが考案した伊江島産食材やビールの麦芽カスを活用した「18(いえ)パン」が第10回高校生ビジネスプラン・グランプリ(日本政策金融公庫主催)で全国4944プランの中からトップ10に選ばれた。1日に発表があった。最終審査会は東京大学本郷キャンパスで、来年1月8日に開かれる予定で、生徒らはグランプリを目指し意気込んでいる。
同校のトップ10入りは初。食品科学科2年の大田清音さん、石川香奈さん、照屋光梨さん、前田琉理(るり)さん、石川美葉(うるは)さんの5人チーム「ムジっ娘」が取り組んだ。
開発のきっかけの一つは、55年にわたり伊江村内の学校給食にパンなどを提供し続けた「伊江製パン」が今年3月に廃業したニュース。生徒らは地域のパン工場がなくなることで、地産地消や食育に触れる機会が減ってしまうことを懸念し、伊江島産の食材を活用したパンの開発に乗り出した。
ムジっ娘は昨年度のビジネスプラン・グランプリでも、地域活性化を目指し県産麦を使った機能性パン「75(なご)パン」を開発し、トップ100に選ばれた。18パンは、75パンをベースに伊江島産小麦、大麦、麦芽かすなどを使用。プレーン、ホップ、カーブチーの生地を用意し「クーブイリチーパン」「肉みそパン」「タコスパン」を完成させた。
県内の子どもに虫歯が多いことを踏まえ、歯の形成にかかわる栄養成分、栄養バランス、かみ応えのある食感になるよう、栄養士の助言を受けながらレシピを考えた。
パンの開発だけでなく「伊江製パン」の店舗跡を借りて営業すると仮定した場合の収支計画、ターゲットとなり得る顧客層、インスタグラムなどのSNSを活用したプロモーション活動といった具体的なビジネスプランも提案し、評価された。
チームリーダーの大田さんは「地域の食材を多くの人に広め、沖縄の健康課題の解決につなげたい。グランプリを目指したい」と語った。生徒らが開発したパンは3日の「北農祭」でも販売され、好評を得た。
(長嶺晃太朗)