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オリオンビール、ブルーシール、A&W… 観光客はなぜ沖縄で「企業ロゴT」を着るのか 世界トレンドも影響!?


この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
オリオンビールTシャツを着て買い物するカップル=11月、那覇市の国際通り

オリオンビールやブルーシール、A&Wなど県内企業のロゴが入ったTシャツを着て国際通りを歩く観光客の姿が目立つ。オリオンビールのロゴTシャツの販売数は昨年同期の約3倍、ブルーシールも約5倍に増えている。観光客はなぜ県内企業のロゴTシャツを着るのか。背景を追った。

11月下旬、最高気温27度の国際通り。新婚旅行で沖縄を訪れた田中沙希さん(29)=福井県=は夫の涼さん(29)とおそろいのオリオンビールTシャツを着て買い物した。沙希さんは「思っていたより暑かったので、半袖Tシャツを現地調達した。デザインがかわいいからこれにした」と説明した。涼さんは「オリオンビールの存在は知っていた。『沖縄』という感じがする」と話す。

土産品店に並んだ県内企業のロゴTシャツ

観光客感

友人同士でオリオンTシャツを着ている観光客も多い。京都府の岡本健治さん(38)は何度も沖縄を訪れているリピーター。「オリオンビール=沖縄というイメージ。Tシャツを着て国際通りを歩いていると、観光客感が出る」と笑う。初めて沖縄を訪れた木下雅信さん(30)=京都府=は岡本さんに勧められてTシャツを購入した。

オリオンビールやブルーシールなど県内老舗メーカーの名前やロゴが、「観光地沖縄」のイメージと強く結び付いていることが分かった。

起点

国際通りの土産品店には「大人気」「入荷しました」などのポップとともに企業ロゴの入ったTシャツが目立つ場所に陳列されている。那覇市松尾の東宝堂は、県内企業ロゴTシャツを数多く取り扱う。オリオン、ブルーシール、スパムが売れ筋という。店員は「インスタグラムやティックトックの影響が大きい。インスタを見せられて『これと同じものはあるか』と聞かれることがとても多い」とSNSを起点にした流行の可能性を挙げた。

オリオンビールによるとロゴTシャツの1~9月の販売数は前年同時期の2・9倍だった。同じ期間の入域観光客数の増加幅は約2倍で、観光客の増加以外にも販売数増加の要因がある。

同社マーケティングコミュニケーション/EC部の妻夫木友也課長は、沖縄を訪れた若い人がリゾートホテルやビーチ、沖縄の美しい自然を背景にロゴTシャツを着た写真をインスタグラムに投稿していることに触れ、「旅行の気分を盛り上げたり、体験をシェアしたりするアイコンのようになっている」と分析する。

ブルーシールも、SNS効果で土産品店での販売数が昨年の5倍に伸びている。フォーモストブルーシールの担当者は「来年で創業75年を迎える。長い間県民に愛してもらっていることが、ブランド力につながっている」と感謝した。

世界のトレンド

企業ロゴTシャツの流行はファッショントレンドとも関係している。

県内の土産Tシャツ事情に詳しいアパレル関係者は「15年頃から世界的に飲料メーカーやスケーターブランドなどの昔のロゴをあしらったTシャツが増えている。さらに韓国ファッションの影響も大きい」とする。韓国ファッションでは、ロゴ入りのTシャツやトレーナーなどはコーディネートによく取り入れられるアイテムだ。

大きなファッションのトレンドに沖縄の企業として認知されているブランド力とSNSでの広がりが組み合わさり、県内企業ロゴTシャツが観光客の間でブームとなっている。

(玉城江梨子)