絶滅が危惧されているジュゴンのDNAが宮古島市の伊良部島佐和田の海草藻場で採取されたふんから検出されたことを14日、一般財団法人沖縄県環境科学センター、NHKなどの共同調査グループが明らかにした。センター総合環境研究所の小澤宏之所長は「ジュゴンが伊良部島佐和田の周辺海域の海草藻場を餌場とし、生息しているという確たる証拠だ」と指摘。最新手法で生息域特定につなげられたと強調した。
小澤所長によると、ジュゴンが宮古諸島で捕獲されたのは1960年代が最後だが、伊良部島周辺では近年、漁業者らから目撃情報が上がっていた。環境省の2021年度調査でも佐和田の海草藻場でジュゴンのものと思われる食み跡が確認されていた。
グループは22年8月23日、伊良部島佐和田の水深3~4メートルの海草藻場周辺の11地点で大型草食動物のふん約30個を採取した。環境DNA分析の手法を応用して分析したところ、4地点で採取されたふんからジュゴンのDNAが検出された。
小澤所長は「ジュゴンは生息域や生息数、生態など不明な点が多い」と指摘。その上で、豪州の研究者が21年に開発した、ふんから識別する最新手法について「不明な点が多い生息域を推定から特定につなげていく重要な新技術だ」と意義を強調し、今後の研究の発展に期待した。
(安里周悟)