自分をどう表現すれば…悩んだ30年、元教諭の宮城さん、児童らに性の多様性を講演「自分らしさ大切に」 沖縄・渡嘉敷


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宮城里沙さんの講演を真剣に聞く渡嘉敷小学校の児童ら=6日、渡嘉敷小中学校体育館

 【渡嘉敷】渡嘉敷村立阿波連小学校と渡嘉敷小中学校で5、6の両日、全児童生徒を対象にした性教育講演会(思春期教室)があった。講師は島尻地区の元小学校教諭で、現在「性の多様性」セミナー講師として県内で道徳の授業や講演会などで活動中の宮城里沙さん(33)が務め、自身の経験を元に、LGBTQや性の多様性について説いた。

 6日の小学生対象の講演で宮城さんは、自身の幼少期の頃から現在までの経験や感情を伝えた。「男らしさ」「女らしさ」を押しつけられる社会に違和感を持ち続け、自分の表現の自由がないことに30年間悩まされた。それぞれの個性を認め合い、尊重することの大切さについて改めて考え、LGBTQや性の多様性を伝えることで、周りと違っても自分らしさを大切にしてほしいとした。

講演する宮城里沙さん

 世界では先例があるものの、日本では同性婚同士の婚姻が法的に認められていない。ジェンダーギャップも世界の約120位と遅れている。そんな中で沖縄県は制服選択制の中学校が46校あり、制服選択制を取る学校が増えていると説明した。

 講演会を担当した渡嘉敷小中校の比嘉雅代養護教諭は「宮城さんとは前任校の同僚で、実際に保健室でカミングアウトを受けた。宮城さんの前向きで明るく生きていく人生の応援団として、今も交流しています」と思いを話した。

 児童の一人は「人間の表現の自由の大切さが理解できた。自分自身の身体と心に向きあって生きたい」、別の児童は「日本は世界と比べジェンダーギャップ指数がとても低いことが分かった」とそれぞれ感想を話した。
 (米田英明通信員)