岸田首相「沖縄に丁寧に説明する」安保3文書 在沖米軍の意義、会見で強調


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ことし5月に来県し、米軍普天間飛行場を視察する岸田文雄首相(前列右)=5月15日、宜野湾市野嵩(ジャン松元撮影)

 安保関連3文書の閣議決定後に開かれた記者会見で、岸田文雄首相は「安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは日米同盟の抑止力、対処力を構成する重要な要素で、その重要性は増している」と述べ、自衛隊配備の増強と同時に、在沖米軍基地の駐留について意義を強調した。

 一方、玉城デニー知事が米軍基地の負担軽減がない中での自衛隊配備強化に反発していることなど、米軍専用施設の7割が集中する沖縄への説明を問われ「厳しい安全保障環境、沖縄の戦略的な意味や3文書の考え方について、丁寧に説明していく努力はしっかり進めていかなければいけない。汗をかかなければいけない」などと述べた。

 その上で、南西諸島の防衛強化や輸送力の増強は「万が一、有事が発生した場合の国民保護の観点からも重要な考え方だ」として理解を求めていく考えを示した。普天間飛行場や、嘉手納より南の米軍施設返還に取り組む姿勢も強調した。

 自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定については「現時点で何ら決まっていることはない。策定した3文書を踏まえ、日米間のあらゆるレベルで緊密な協議を行っていく」と述べるにとどめた。

 中国とのにらみ合いが続く尖閣諸島についても「海上保安庁の能力増強や、防衛大臣による海保の統制要領を含む自衛隊との連携強化なども進めていく」と述べ、海保の対処能力を向上させる考えも示した。

(池田哲平)