那覇の陸自第15旅団の「師団」格上げ明記 有事念頭に展開能力強化へ<安保3文書と沖縄>


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 16日に閣議決定した「安全保障関連3文書」は反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記するなど、日本の防衛体制を大きく転換させるものとなった。南西諸島の防衛力強化も色濃く、沖縄県内でもミサイル部隊の強化などを打ち出した。安全保障の最前線と位置付けられた沖縄に関係する記述や、論点をまとめる。

 防衛力整備計画では南西地域の防衛体制強化を目的に、2027年度までに那覇市に拠点を置く陸上自衛隊第15旅団の普通科連隊を現行の一つから二つに増やし、「師団」に格上げすると明記した。師団は一般的に約4900~7700人で編成されるが、15旅団の格上げ後の隊員数は明らかにされていない。

 その他の県外にある8個師団、5個旅団、1個機甲師団は「機動運用」を基本とし、南西諸島での有事を念頭に、迅速に陸自部隊を南西方面に展開できるようにする。南西地域への部隊や装備品の展開能力を強化するため、24年度末をめどに海上輸送部隊を新編する。

 補給面では、5年以内をめどに南西地域に補給拠点を設置すると盛り込んだ。現行は佐賀県の陸自目達原駐屯地にある九州補給処が最西端で、南西諸島における自衛隊活動の持続性や強靱(きょうじん)性を確保する狙いがある。場所は検討中。

 また、スタンド・オフ・ミサイルを始めとした弾薬、誘導弾を増やすと共に、それらを保管するのに必要な火薬庫の整備も進める。防衛省側は「南西地域で現状、火薬庫が十分にない」と認識。島しょ地域では保管場所を一カ所に集中させるのは難しいとみて、分散配置も「追求・促進」する。米軍の火薬庫の共同使用も盛り込んだ。

 持続性・強靱(きょうじん)性の関連では、主要司令部の地下化も盛り込んだ。師団化する15旅団なども検討対象となる。

 「島しょ地域における電子戦部隊を強化する」とも記述した。与那国島への23年度末の電子戦部隊配備が念頭にある。

 防空体制強化のため、太平洋側の島しょ部へ移動式の警戒管制レーダーの配備を推進する。

 防衛省は本年度から、移動式警戒管制レーダーの配備に向け北大東村での調査に着手しており、防衛力整備計画に明記することで、配備の推進を明確にした形だ。

(知念征尚)