16日に閣議決定した「安全保障関連3文書」は反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記するなど、日本の防衛体制を大きく転換させるものとなった。南西諸島の防衛力強化も色濃く、県内でもミサイル部隊の強化などを打ち出した。安全保障の最前線と位置付けられた沖縄に関係する記述や、論点をまとめる。
国家防衛戦略や防衛力整備計画は、今後のミサイル防衛などの在り方として、「スタンド・オフ防衛」と「統合防空ミサイル防衛」の強化を打ち出した。スタンド・オフ・ミサイルは敵から攻撃を受けた際に、遠方から相手の基地をたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)を担うことになる。12式地対艦誘導弾(SSM)の能力向上型や、島しょ防衛用高速滑空弾、極超音速誘導弾の開発や量産を目指す方針だ。
防衛省は2023年度概算要求で、12式地対艦誘導弾をうるま市の陸自勝連分屯地に配備する予算を盛り込んでいる。沖縄本島では初めての配備となるが、宮古島駐屯地には配備済みで、年度内に開設する石垣駐屯地にも部隊を置く方針を示している。奄美大島の奄美駐屯地にも部隊があり、最終的には南西諸島全体で4島に部隊が配置されることになる。
政府の説明によると、12式地対艦誘導弾の能力向上型は地上、艦艇、航空機から発射できる型をそれぞれ開発し、量産化する方針。政府は具体的な射程距離を示していないが、関係者によると、1千キロを超える長距離射程になるとみられる。地上から発射する型について、早ければ2026年度から部隊配備を始めるとしている。安全保障関連3文書では具体的な配備場所を触れていないものの、今後開発が進めば、県内の各駐屯地に配備された部隊が置き換わる可能性も否めない。その場合、沖縄に駐留するミサイル部隊が他国のミサイルを迎撃する機能だけではなく、敵基地の攻撃を担うことも視野に入れているとみられる。
沖縄など南西諸島が侵略されたことを想定した島しょ防衛用の高速滑空弾は、音速の速さで飛ぶミサイルで、防衛力整備計画に「本土等の、より遠方から、島しょ部に侵攻する相手部隊等を撃破するための島しょ防衛用高速滑空弾(能力向上型)を開発する」と記載された。九州や北海道に配置されるとみられている。
(池田哲平)